相続人が兄弟の場合の戸籍謄本について

相続の手続きについて

相続手続きでは戸籍謄本が必要になりますが相続人が兄弟の場合、取得する戸籍謄本については通常との違いがあります。

今回はその違いなどについて説明していきます。

必要になる戸籍謄本は?

仮にABCの三兄弟がいたとします。このうちAが亡くなり、相続人が兄弟であるBCの2人でした。

相続人が兄弟の場合、必要になる戸籍謄本は5種類です。

  • 各相続人の戸籍謄本
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 被相続人の父の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 被相続人の母の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 被相続人の祖父母の死亡の記載がある戸籍(除籍)

 

各相続人の戸籍謄本
財産を相続する者の戸籍謄本です。通常の相続でも必要となる戸籍謄本です。

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
被相続人(財産を相続させる者)の戸籍謄本です。これは被相続人に相続第1順位である子供がいないかを確認するためで、死亡記載の戸籍謄本から出生まで遡って戸籍謄本を集める必要があります。これも通常の相続で必要となります。

被相続人の父の出生から死亡までの戸籍謄本
被相続人の父親の出生から死亡までの戸籍謄本は第2順位である父親が亡くなっていることと異母兄弟の確認のために必要となります。

被相続人の母の出生から死亡までの戸籍謄本
被相続人の母親の出生から死亡までの戸籍謄本は第2順位である母親が亡くなっていることと異父兄弟の確認のために必要となります。

被相続人の祖父母の死亡の記載がある戸籍謄本(除籍謄本)
被相続人の祖父母の死亡記載がある戸籍謄本が必要なのは第2順位である直系尊属が亡くなっていることを確認するために必要になるものです。

これに加えて養子の場合は養父母の出生から死亡までの戸籍謄本、養父母側の祖父母の死亡記載がある戸籍謄本が必要です。また兄弟で亡くなっている方がいる場合はその相続人(代襲相続人)が関係してきますので、その兄弟の出生から死亡までの戸籍謄本が必要です。

さらに被相続人が亡くなった後にその配偶者が亡くなった場合、配偶者の出生から死亡までの戸籍謄本が必要です。

兄弟の戸籍謄本は取得できるのか

戸籍謄本は自分のものはもちろんのこと、配偶者、直系尊属(父母・祖父母)、直系卑属(子・孫)の戸籍謄本を請求することができます。

兄弟の戸籍謄本ですが、これは条件つきで請求が可能です。

  • 自己の権利を行使するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合
  • 戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある場合

よって相続という権利を行使するために戸籍を確認する必要があるというのは正当な理由であるため、この場合兄弟でも請求可能となります。

そしてこの正当性を証明するための書類が必要になります。

  • 被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本(除籍謄本)
  • 相続人(被相続人の兄弟)の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 請求理由を記載した書類

まず被相続人が亡くなったことを証明するため、被相続人の死亡記載のある戸籍謄本、そして兄弟が相続人であることを証明するため兄弟らの戸籍謄本が必要となります。

請求理由を記載した書類というのは自分で作成します。特に形式はないのですが具体的な理由を記載しておくことが望ましいです。例えば「遺産分割協議をするにあたり相続人を確定する必要があるため」「不動産の相続登記手続きに必要なため」「被相続人の○○銀行○○支店の口座の解約、名義変更手続きに必要なため」といった内容を記載します。

兄弟の戸籍謄本が不要の場合

兄弟の戸籍謄本を取得する必要がない場合もあります。

それは兄弟が婚姻していない場合です。

婚姻していなければ、兄弟の戸籍は両親と同じ戸籍に入っています。なので両親の戸籍を取得することで必然的に兄弟の戸籍も取得していることになります。

もし自分も婚姻しておらず転籍もしていないのであれば自分の戸籍謄本を取得することで親、兄弟、自分の3つの戸籍謄本を取得することになります。

ただし兄弟が離婚していた場合は注意が必要です。離婚した場合はそのままの戸籍の残るか復籍、新戸籍の編製が考えられます。復籍とは婚姻前の戸籍に戻ることです。復籍していない時は、前の配偶者と同じ戸籍に入っているか新しい戸籍を作った可能性が高いです。

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