【相続手続き】生まれてから死亡までの戸籍謄本の取り方

相続の手続きについて

相続手続きで一番苦労するのが亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本を集めることです。

そこで今回は戸籍謄本の収集方法について解説します。

なぜ出生から死亡までの戸籍謄本が必要なのか

なぜ出生から死亡までの戸籍謄本が必要になるのかと言うと、相続人を確定するためです。

人が亡くなると、財産の相続が発生します。

実際に相続するには手続きが必要なのですが、預貯金や株式、不動産の相続手続きの際には、被相続人(亡くなった方)が生まれてから亡くなるまでの戸籍を提出するように言われます。相続人ではないものに財産を渡してしまうと大変なことになってしまいます。

そのため本当に相続人であるか他に相続人はいないのかなどを確認するために、被相続人の生まれてから死亡までの戸籍謄本が必要となるのです。

生まれてから死亡までの戸籍謄本を取得するのが難しい理由

現在の戸籍制度は、婚姻・転籍・法改正などによって、本籍の異動があった場合など前の戸籍内容のすべてを新しい戸籍に書き換えることをしていません。

例えば、婚姻すると親の戸籍から抜けて新しく夫婦の戸籍が作られます。

戸籍謄本には、出生や婚姻の内容は記載されていますが、兄弟関係などはわからなくなってしまいます。そのため、生まれてから死亡までの戸籍謄本を取得する必要があるのですが、戸籍謄本は上記のように婚姻・転籍・法改正を機に何種類も存在します。

戸籍が新しくできた時期を確認しながら、出生まで遡って戸籍を取得していくのですが、この遡る作業が慣れていない人にとっては難しい作業なのです。

戸籍謄本の取り方と費用

戸籍謄本の取り方自体はそれほど難しいものではありません。

本籍地のある役所やサービスコーナーに行き、申請書に必要事項を記入して提出するだけです。その際に本人確認書類も提出します。

【本人確認書類について】
運転免許証、顔写真つきの住民基本台帳カードなど、官公署発行の顔写真付きの場合は 1 つ。健康保険証、年金手帳などの場合は2つとしているところが多いです。

戸籍謄本(全部・個人事項証明)の費用は1通450 円。除籍謄本(全部・個人事項証明)と改製原戸籍が1通750 円です。

請求する市区町村が遠い場合は郵送で取り寄せることもできますが、近い場合はイレギュラーなことが発生する可能性もあるので、時間があるのであれば直接窓口に出向いて発行してもらうことをおすすめします。

※戸籍謄本は本籍地のある市区町村で取得できます。住民票がある市区町村ではないので注意してください。

戸籍謄本の追い方

それでは出生から死亡までの戸籍謄本の追い方について解説していきます。

まず一般的にポイントとなるのは以下の点です。

①直近(最後の本籍地)の戸籍謄本
②改製原戸籍
③転籍・婚姻

例えばAさんが亡くなったとします。

このAさんの戸籍謄本が出生からどのような流れで変わっていくかを時系列に説明します。

最初の戸籍謄本⇒Aさんの父母の戸籍に入っている
2番目の戸籍謄本⇒婚姻して新しく夫婦の戸籍を作る

基本的に戸籍謄本はこの2つになるのですが、昭和32年(1957年)と平成6年(1994年)に戸籍法が改正されているため、昭和32年より前に生まれた方と平成6年より前に生まれた方はその分だけ改製原戸籍が増えることになります。わかりやすいように昭和32年のものを「昭和改製原戸籍」平成6年のものを「平成改製原戸籍」と呼びます。

相続手続きで必要になる改製原戸籍とは?
相続手続きでよく耳にする改製原戸籍。これが何の戸籍謄本なのか分からないという人も多いかと思います。そこで今回は改製原戸籍について解説していきます。

例えばAさんが昭和15年生まれだったとすると・・・

昭和15年出生⇒Aさんの父母の戸籍に入っている(1枚目)
昭和32年⇒戸籍法改正により新しい戸籍が作られる(2枚目)
昭和45年⇒婚姻して新しく夫婦の戸籍を作る(3枚目)
平成6年⇒戸籍法改正により新しい戸籍が作られる(4枚目)

このようにAさんの戸籍謄本は出生まで遡ると4通あることになります。また稀に本籍地を変更(転籍)している方もいますので、その場合も増えます。

戸籍謄本の追い方としてはこの逆に追っていけばよいということになります。Aさんの戸籍謄本を追う場合は以下の流れになります。

①直近(最後の本籍地)の戸籍謄本を取る
まず最初に、亡くなった時の本籍地である戸籍謄本を取得します。もし本籍地がわからない場合は全ての事項が記載された住民票を取得しましょう。そこに本籍地が記載されています。Aさんの場合は平成6年に戸籍法が改正されているので、その新しい戸籍謄本ということになります。

②平成改製原戸籍を取る
Aさんの場合、婚姻後に戸籍法が改正されているので改製前の戸籍謄本(改製原戸籍)を取得します。婚姻してから改正されるまでの戸籍謄本となります。

③婚姻前の戸籍謄本を取る
Aさんは昭和45年に婚姻しているので、それ以前の戸籍謄本を取得します。昭和32年に戸籍法が改正されているので昭和32年から婚姻する昭和45年までの戸籍謄本(除籍謄本)ということです。(※除籍謄本とは転籍・死亡・婚姻などによりその戸籍に誰もいない状態のものを言います。)

④出生までの戸籍謄本を取る
Aさんは昭和15年生まれですが、昭和32年に戸籍法が改正されているので昭和15年から32年までの戸籍謄本(昭和改製原戸籍)ということになります。

戸籍謄本の見方

最後に戸籍謄本の見方を解説します。

戸籍謄本の見方は神戸市がとてもわかりやすい見本を作成してくれていますので、そちらを引用させて頂きます。

現在の戸籍謄本の見方

神戸市HPより

①本籍地
②筆頭者
③戸籍事項
④身分事項
⑤戸籍に記録されている者(いない場合は空欄)

①~②については特に問題がないかと思います。これは「神戸太郎」さんを筆頭者とする戸籍謄本ということです。

③については戸籍が編製された理由と日付が記載されています。上記の見本では改製日が平成17年3月19日、改製事由(理由)が平成6年法務省令・・・と記載されています。この時期のずれは法律が改正されたのは平成6年ですが、実際に改製されたのは平成17年ということです。改製日は市区町村によって異なります。もし本籍の異動(転籍)があった場合、ここに転籍日と前の本籍地が記載されています。

④については出生や婚姻、死亡などの身分事項が記載されています。見本にあるように死亡の記載があるものが直近の戸籍謄本となります。

⑤は妻や子供など戸籍に記録のある人が記載されています。この見本だと改製が平成17年3月に行われておりますが、それ以前に除籍になった人は記載されません。

平成改製原戸籍の見方

神戸市HPより

平成6年の戸籍法改正前の戸籍謄本になります。

①の部分は戸籍事項が記載されています。見本では「婚姻の届出により昭和四拾五年七月拾五日編成」と書かれています。婚姻のため、昭和45年7月15日にこの戸籍が作られたということです。転籍している場合はここに前の本籍地が記載されています。

②~③については出生・婚姻・死亡の身分事項がそれぞれ記載されています。神戸太郎さんの部分には「昭和拾五年拾弐月拾五日富山市で出生」と書かれていますが、これは記載されているだけで神戸太郎さんの出生時の戸籍謄本という意味ではありません。ちなみに息子である神戸一郎さんはこれが出生時の戸籍謄本となります。婚姻についての記載は夫婦については婚姻日と前の本籍地が記載されており、子供については婚姻後の新しい本籍地が記載されています。神戸太郎さんの婚姻事項を見ると「昭和四拾五年七月拾五日摩耶花子と婚姻届出富山市牛島新町十一番地 神戸健二戸籍から入籍」と記載されていますので、婚姻前の本籍地は富山市、筆頭者は神戸健二さんということになります。

除籍謄本の見方

神戸市HPより

神戸太郎さんが婚姻する前の戸籍謄本となります。神戸太郎さんは婚姻で除籍しており、父母も亡くなっているため除籍謄本となります。

書式は少し違いますがこれも最初に戸籍事項が記載されており、次に身分事項が記載されています。

順序が逆になりますが、まず②から見ていきましょう。ここを見ると「昭和参拾弐年法務省令第弐拾七号により改製 昭和参拾六年七月八日同所同番地 神戸吾郎戸籍から本戸籍編成」と書かれています。神戸太郎さんは昭和15年生まれなのでこれも神戸太郎さんの出生時戸籍ではないことがわかります。

次に①の太郎さんの部分を見ると婚姻後の本籍地は「神戸市垂水区日向一丁目五番」と記載されています。なので、太郎さんの婚姻後の本籍地は神戸市垂水区ということになります。

昭和改製原戸籍の見方

神戸市HPより

この時代の戸籍は今とは違い戸主制となっており、夫婦や子供以外の親族も記載されていました。

②の戸籍事項を見ると昭和7年の転籍により富山市に入籍しています。

神戸市HPより

次に③を見ると太郎さんの箇所に出生事項が記載されています。昭和15年に届出がされており、この戸籍謄本は昭和7年に編成されているため、これが太郎さんの生まれた時の戸籍謄本ということになります。

余談ですが、この時代の戸籍謄本は誤記(間違い)も存在します。どうも内容がおかしいなと感じたら管轄の市区町村に問い合わせてみましょう。

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