相続と遺贈の違いとは?その意味や登記方法について解説!

相続の手続きについて

相続の話でよく出てくる遺贈という言葉。
これは相続とはどう違うのでしょうか。

今回は、遺贈の意味や相続との違い、登記についてなどを解説していきます。

遺贈の意味とは?

遺贈とは遺言書で特定の人物に財産を譲り渡すことを言います。読み方は「いぞう」と読みます。

遺贈する側を遺贈者、受け取る側を受遺者と言います。

遺贈には包括遺贈と特定遺贈の2種類があります。
包括遺贈は財産を特定しないで遺贈させることを言います。例えば、「財産の1/3を遺贈させる」といった場合です。
特定遺贈は財産を特定して遺贈させることです。例えば、「自宅を遺贈させる」といった場合です。

 

遺贈と相続の違いとは?

それでは遺贈と相続の違いについて見ていきましょう。

「相続」は相続人だけにしか使えない言葉で、相続人以外には「~を相続させる」という言葉は使用できません。
遺言書では相続人以外の者に財産を譲り渡すことができます。例えば、お世話になった知人など、相続人ではないけど財産を渡したい人に遺言書を使って渡すことが可能です。この場合、「~を遺贈する」というように遺贈という言葉を使います。
このように「相続させる」は相続人、「遺贈する」は相続人以外となるのですが、相続人に「遺贈する」という言葉を使っても構いません。しかし、相続人に「遺贈する」という言葉を使ってしまうと相続人に認められたメリットがなくなってしまう可能性があるので注意が必要です。

  遺贈 相続
基礎控除 なし あり
不動産取得税 場合による なし
登録免許税 2% 0.4%
相続税の二割加算 あり 場合による
登記手続き 法定相続人全員または遺言執行者と共同 単独
農業委員会の許可 特定遺贈は必要 不要
借地権・借家家 賃貸人の承諾が必要 賃貸人の承諾は不要

 

遺贈と相続の基礎控除の違い

遺贈と相続の違いのひとつとして相続税の基礎控除の有無があります。

相続の場合であれば以下の基礎控除を適用することができます。
3,000万円+600万円×法定相続人の数

この額におさまれば相続税は発生しません。

しかし、遺贈の場合はこの基礎控除を使うことができませんので、相続税が発生することになります。

遺贈と相続の不動産取得税の違い

次に不動産取得税について見ていきましょう。

不動産を取得した際は不動産取得税がかかります。この不動産取得税についても遺贈と相続で違いがあります。

相続や包括遺贈の場合、不動産取得税はかかりませんが、相続人以外の特定遺贈の場合は不動産取得税がかかります。

  相続 包括遺贈 特定遺贈
相続人が取得 非課税 非課税 非課税
相続人以外が取得 非課税 課税

税率は土地や住宅3%、住宅以外の建物は4%で固定資産税評価額にかけて算出します。納付先は各都道府県税事務所です。

遺贈と相続の登録免許税の違い

続いて、登録免許税についての違いを見ていきましょう。

不動産を遺贈や相続で取得した場合、所有権移転登記が必要となりますが、登録免許税とは不動産の所有権登記の際に発生する税金です。

相続の場合は0.4%、遺贈の場合は2%です。
※平成18年4月1日より法定相続人に対して遺言書で遺贈した場合でも0.4%となりました。
固定資産税評価額に税率をかけた額が納付額となります。納付方法は法務局で登記する際に収入印紙を貼りつけて納付します。

遺贈と相続の相続税二割加算の違い

続いて、相続税の二割加算の違いについて見ていきましょう。

被相続人の一親等の血族(代襲相続人の孫も含む)と配偶者以外の者が遺贈または相続した場合、相続税の二割がさらに加算されます。
従って、法定相続人以外の受遺者(遺贈を受ける者)は二割加算の対象となります。通常、法定相続人は二割加算の対象ではないですが、一親等の血族以外には加算されます。例えば、兄弟姉妹や甥や姪などです。また被相続人の孫を養子にした場合で、その孫が代襲相続人となっていない場合も加算の対象となります。

算出方法は「各人の控除前の相続税額×2%」となります。

遺贈と相続の登記手続きの違い

次に遺贈と相続の登記手続きの違いについて見ていきましょう。

不動産を取得した場合、登記手続きをすることになりますが、遺贈の場合、通常、法定相続人全員で共同で申請しなければなりません。相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書が必要になってくるので、協力が得られないと手続きが進まないことにもなり兼ねません。

また遺言執行者が選任されている場合は遺言執行者と受遺者とで共同ですることができます。受遺者が遺言執行者となっている場合は受遺者が単独で登記ができます。

遺言執行者がいる場合 受遺者と法定相続人の全員
遺言執行者がいない場合 受遺者と遺言執行者

もし、他の相続人が協力してくれない場合は家庭裁判所で遺言執行者の選任を申し立てることもできます。

 

農地を遺贈・相続した場合の違い

続いて、農地を遺贈された場合や相続した場合の違いについて見ていきましょう。

原則として農地の所有権を移転する場合、農業委員会または知事の許可が必要となります。相続の場合や包括遺贈の場合はこの手続きが不要となります。従って、「○○の農地を遺贈する」というような特定遺贈の場合は許可が必要ということになります。農業委員会または知事から許可を受け、許可書を添付して法務局に登記申請するという流れです。

また相続や包括遺贈で許可が不要であっても、農業委員会への届出は必要です。これは相続開始を知ったときから10ヶ月以内に届出をする必要があります。

借地権や借家権を遺贈・相続した場合の違い

続いて、借地権や借家権を遺贈された場合や相続した場合の違いについてです。

遺言書で借地権や借家権を遺贈された場合は賃貸人の承諾が必要になります。相続した場合、承諾は不要です。

 

まとめ

さて、いかがでしたか?

今回は遺贈と相続の違いについて解説させていただきました。

遺贈と相続は似た意味がありますが、実際には上記のような違いが明確にあります。遺贈を受けたら、手続きや税金面で違いが生じますので不安な方は専門家に相談してみましょう。

以上、「相続と遺贈の違いとは?その意味や登記方法について解説!」でした。

最後まで、お読みいただきありがとうございます。

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