実印なく印鑑証明書がない場合の相続手続き

相続の手続きについて

相続手続きで必要となる実印と印鑑証明書。

しかし、実印がなく印鑑証明書が発行できない相続人がいる場合の相続手続きはどうなるのでしょうか。

実印と印鑑証明書とは

実印とは住民登録している市区町村に印鑑の登録をしたものをいいます。

実印は印鑑のなかでも、最も重要なもので、法的効力の高い印鑑です。契約や不動産の売買など、重要な場面では実印での捺印が求められることがあります。
認印などは、家族で共有することもあるかもしれませんが、実印は自分の印鑑であることを登録したものなので、使いまわしたりしてはいけません。

印鑑証明書(印鑑登録証明書)とは、登録した印鑑の証明書です。
実印と印鑑証明書をセットにすることで、その捺印が実印であることを証明することになります。

実印と印鑑証明書は相続で必要となる

相続では遺言書がない場合、相続人同士の話し合いで遺産を分割します。これを遺産分割協議といいます。
遺産分割協議がまとまると遺産分割協議書を作成し、これに相続人全員が実印を捺印し署名します。

その他に、預貯金など銀行に預けている資産の相続手続きにも実印と印鑑証明書が必要となります。

実印と印鑑証明書がない場合

実印がなく印鑑証明書が取れない場合の手続きですが、上記のように相続手続きで必要となる場面が考えられるため、早急に作成した方が良いでしょう。

また、実印がなく印鑑証明書が取れないといったケースで考えられるのが未成年者です。
印鑑登録は15歳以上の未成年者にも認められていますが、遺産分割協議に未成年者は参加できません。この場合、通常であれば、親権者や法定代理人が署名捺印するのですが、親権者も相続人の場合は利益相反となり、親権者が未成年者の代理人になることができなくなります。
事例で解説します。
被相続人がA、相続人が配偶者B、子Cとします。子Cは未成年者です。通常の相続であれば、配偶者Bと子Cが遺産分割協議を行い、分割について決めます。しかし、Cは未成年者なので遺産分割協議に参加することはできません。ここで、親権者であるBが子Cの代理人として署名捺印できてしまうと、自分の都合のいいようにしてしまう危険性があります。つまりBとCの利益が相反しているのです。

そこで、この場合は家庭裁判所に特別代理人の選任を申立てします。選任された特別代理人は未成年者の代わりに遺産分割協議書に署名捺印します。
なお、申立ての際に遺産分割協議書案を添付するのですが、通常は法定相続分となるようです。家庭裁判所は未成年者の利益を考慮し、未成年者に不利な内容の遺産分割協議書の場合、特別代理人の選任を認めない傾向にあるからです。

また成年被後見人は遺産分割協議に参加することができず、印鑑登録することもできないため、この場合は成年後見人が代理人として遺産分割協議に参加することになります。

実印の作成方法

実印がない人は、相続手続きに実印と印鑑証明書が必要となったら、早急に作成しましょう。

実印は偽造防止のため、ゴム印や量産型のものでは印鑑登録できない場合があります。近所のはんこ屋に行き、実印を作りたいという旨を伝えれば色々とアドバイスをもらいながら作成することができます。
時間がない、近所にはんこ屋がないという人はネットからでも注文することができます。

作成する際は大きさに注意してください。
自治体によって異なりますが、大きさは「8ミリより大きく25ミリ以下のもの」としているところが一般的です。作成する前に印鑑登録する自治体に確認しましょう。
一般的には男性用が直径15~18mmの丸印、女性用が直径13.5mm~15mmの丸印と言われています。銀行印を作成している人は、すぐに違いがわかるように銀行印より大きくするのがおすすめです。ただし、あまり大きいと仰々しい感じがしますし、押印しづらいので、大きくしすぎない方が良いでしょう。

実印はフルネームで作るべきか
偽造防止や取り違えなどを考慮すると、実印はフルネームで作成するのが好ましいと言われています。
また自治体によっては、苗字だけで良いとするところやフルネームでなければならないとするところもあるので、作成する前に確認しましょう。
婚姻後に姓が変わる可能性があることも考慮して名前だけでも良いとしている自治体もあるようです。

 印鑑登録の方法

印鑑登録は住民登録をしている市区町村の役所ですることができます。
印鑑登録する判子と運転免許証などの身分証明書を持参しましょう。身分証明書の種類や有無によっては手続きに時間がかかる場合があります。

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