青色申告の承認を受けていた被相続人の事業を相続により承継した場合は所得税の青色申告承認申請手続が必要となります。
所得税の青色申告承認申請手続とは
所得税の青色申告承認申請手続とは青色申告の承認を受けようとする場合の手続です。
青色申告とは?
日本の所得税は、納税者が自ら税法に従って所得金額と税額を正しく計算し納税するという申告納税制度を採っています。
所得金額を正しく計算し申告するためには、収入金額 や必要経費に関する日々の取引の状況を記帳し、取引に伴い作成したり受け取ったりした書類を保存しておく必要があります。
一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる青色申告の制度があります。
青色申告をすることができる人は、 不動産所得、事業所得、山林所得のある人です。
青色申告をすると有利な点
青色申告特別控除
不動産所得や事業所得事業を営んでいる青色申告者で、これらの所得に係る取引を正規の簿記(一般的には複式簿記)により記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付して法定申告期限内に提出している場合には、原則としてこれらの所得を通じて最高65万円を控除することができます。
青色事業専従者給与
青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費に算入することができます。
なお青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれません。
貸倒引当金
事業所得が生じる事業を営む青色申告者で、その事業で生じた売掛金、貸付金などの貸金の貸倒れによる損失の見込額として、年末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5%以下の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れたときは、その金額を必要経費として認めるというものです。
ただし、金融業の場合は 3.3%になります(一括評価)。
なお、貸金のうち貸倒れその他これに類する一定の事由による損失の見込額については、それぞれの事由に応じた限度額までを、貸倒引当金勘定に繰り入れることができますが(個別評価)、その際必要経費に算入された金額の計算の基礎となった貸金は一括評価を行う帳簿価額の合計額から除かれます。
純損失の繰越しと繰戻し
事業所得などに損失(赤字)の金額がある場合で、損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除します。
また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、その損失額を生じた年の前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできます。
根拠法
所得税法第144条
(青色申告の承認の申請)
第百四十四条 その年分以後の各年分の所得税につき前条の承認を受けようとする居住者は、その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同条に規定する業務を開始した場合には、その業務を開始した日から二月以内)に、当該業務に係る所得の種類その他財務省令で定める事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
所得税法第166条
(申告、納付及び還付)
第百六十六条 前編第五章及び第六章(居住者に係る申告、納付及び還付)の規定は、非居住者の総合課税に係る所得税についての申告、納付及び還付について準用する。この場合において、第百十二条第二項(予定納税額の減額の承認の申請手続)中「取引」とあるのは「取引(恒久的施設を有する非居住者にあつては、第百六十一条第一項第一号(国内源泉所得)に規定する内部取引に該当するものを含む。)」と、「同項」とあるのは「前項」と、第百二十条第一項第三号(確定所得申告)中「第三章(税額の計算)」とあるのは「第三章(第九十五条(外国税額控除)を除く。)(税額の計算)及び第百六十五条の六(非居住者に係る外国税額の控除)」と、同項第四号中「外国税額控除」とあるのは「第百六十五条の六第一項から第三項までの規定による控除」と、同条第三項第四号中「又は」とあるのは「若しくは」と、「居住者」とあるのは「非居住者又は国内及び国外の双方にわたつて業務を行う非居住者」と、「交付される源泉徴収票」とあるのは「交付される源泉徴収票又は収入及び支出に関する明細書で財務省令で定めるもの」と、同条第六項中「業務」とあるのは「業務(第百六十四条第一項各号(非居住者に対する課税の方法)に定める国内源泉所得に係るものに限る。)」と、第百二十二条第二項(還付等を受けるための申告)中「第九十五条第二項又は第三項」とあるのは「第百六十五条の六第二項又は第三項」と、第百二十三条第二項第六号(確定損失申告)中「第九十五条(外国税額控除)」とあるのは「第百六十五条の六(非居住者に係る外国税額の控除)」と、第百四十三条(青色申告)中「業務」とあるのは「業務(第百六十四条第一項各号(非居住者に対する課税の方法)に定める国内源泉所得に係るものに限る。)」と、第百四十四条(青色申告の承認の申請)中「業務を開始した場合」とあるのは「業務(第百六十四条第一項各号(非居住者に対する課税の方法)に定める国内源泉所得に係るものに限る。)を開始した場合」と、第百四十五条第二号(青色申告の承認申請の却下)中「取引」とあるのは「取引(恒久的施設を有する非居住者にあつては、第百六十一条第一項第一号(国内源泉所得)に規定する内部取引に該当するものを含む。第百四十八条第一項及び第百五十条第一項第三号(青色申告の承認の取消し)において同じ。)」と、第百四十七条(青色申告の承認があつたものとみなす場合)中「業務」とあるのは「業務(第百六十四条第一項各号(非居住者に対する課税の方法)に定める国内源泉所得に係るものに限る。)」と読み替えるものとする。
手続対象者
事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき業務を行う方(非居住者の場合には業務を国内において行う方)のうち、青色申告の承認を受けようとする方
提出時期
通常は、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日(非居住者の場合には事業を国内において開始した日)から2月以内。)に提出しなければなりません。
青色申告の承認を受けていた被相続人の事業を相続により承継した場合は、相続開始を知った日(死亡の日)の時期に応じて、それぞれ次の期間内に提出ししなければなりません。
死亡の日が1月1日から8月31日までの場合・・・死亡の日から4か月以内
死亡の日が9月1日から10月31日までの場合・・・12月31日まで
死亡の日が11月1日から12月31日までの場合・・・翌年の2月15日まで
※なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。
提出方法と手数料
申請書を作成し、所轄の税務署に持参又は送付により提出します。
国税局の所在地及び管轄区域
手数料はかかりません。
所得税の青色申告承認申請書のダウンロード(PDF/329KB)
受付時間
平日 8:30~17:00
税務署の閉庁日(土・日曜日・祝日等)は受付を行っておりませんが、送付又は税務署の時間外収受箱に投函することにより提出することができます。
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