遺言の内容によっては遺留分を侵害されている場合があります。その場合は遺留分減殺請求をすることで取り戻すことができますが、いつまでもできるわけではありません。
そこで今回は遺留分の時効について解説していきます。
遺留分とは?
遺留分とは簡単に言うと、相続人が最低限もらえる財産のことです。
例えば、夫、妻、子どもの3人家族で夫が遺言を残したとします。その内容は第三者に財産の全てを遺贈する内容でした。遺言書は被相続人の意思を反映したもので、方式は定められていますが書く内容は自由なので、このような内容でも有効となります。しかし、家族としては納得のいくものではないでしょう。
そこで法律では、遺留分として最低限度は取り戻すことを認めています。
一 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一
二 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一
遺留分減殺請求の方法
では、遺留分はどうやって取り戻すのかというと、まず遺留分減殺請求を相手側にします。
この方法に特に決まりはありませんが、書面で内容証明郵便にて通知するのが良いでしょう。内容としてはいつ遺言書があることを知ったのか、遺留分を侵害していること、遺留分減殺請求することなどを記載します。
この通知が相手側に届いてから、その相手と交渉することになります。交渉がまとまれば書面にして公正証書にしておきます(公正証書にしなくても有効です)。交渉が決裂した場合は家庭裁判所による調停になり、そこでもまとまらなければ裁判で決着をつけることになります。
遺留分の時効
上記のように遺留分を侵害された場合、遺留分減殺請求をし、ある程度は取り戻すことができます。
しかし、この遺留分減殺請求はいつでもできるものではなく、法律で時効が定められています。
少し難しそうに見えますが、前半部分は、相続の開始や遺留分減殺請求ができる贈与・遺贈があったことを知った時から1年間遺留分減殺請求をしなかった場合は時効となる、という意味です。例えば、被相続人が亡くなったことを知ったときや亡くなったことを知らなくても遺言書で知り、その内容が遺留分を侵害していることを知ったときから1年以内に遺留分減殺請求をしなければなりません。後半は相続や贈与、遺贈があったことを知らなかったとしても相続開始(被相続人が亡くなって)10年経過した場合も時効となる、ということです。前半部分を消滅時効、後半部分を除斥期間といいます。
兄弟姉妹に遺留分はない
ちょっと話が脱線しますが、兄弟姉妹に遺留分はありません。
例えば、夫、妻の2人家族で、夫には親(直系尊属)がいないが兄弟がいるとします。通常、この場合は兄弟にも法定相続分があります。しかし夫が妻に全部の財産を相続させる内容の遺言書を書いていたとします。この場合、兄弟姉妹には遺留分がないので、妻が全額相続することになります。反対に遺言書がないと兄弟は財産の1/4が法定相続分となります。
まとめ
さて、いかがでしたか?
今回は遺留分の時効について解説させていただきました。
最近では遺言書を作成する方も増えています。遺留分を侵害するような内容、例えば、妻に全財産を相続させるような内容も多いかと思います。不当な遺言書には権利を主張することが大切ですが、遺留分を侵害されたからと言って必ずしも遺留分減殺請求しなければならないものではなく、遺言者の遺志を尊重することも大切なことだと思います。
以上、「【相続手続き】遺留分の時効はいつまで?」でした。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
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