アパートを相続した場合の手続きや注意点

相続の手続きについて

最近ではアパート経営をされている方も多くなってきました。

親がアパート経営をしており、その物件を相続する場合、どのような手続きが必要となってくるのでしょうか。

今回はアパートを相続した場合の手続きや注意点などについて解説していきます。

アパートの相続手続きの流れ

①賃借人への連絡・管理(早急に)

②金融機関への連絡(早急に)

③準確定申告(4ヶ月以内)

④遺産分割協議(出来るだけ早く)

⑤名義変更手続き(出来るだけ早く)

⑥相続税の申告(10ヶ月以内)

アパートを相続した場合、おおまかな手続きの流れは上記の通りです。

 

①賃借人への連絡・管理

アパートを経営していた被相続人が亡くなると、賃借人への連絡が必要となってきます。

被相続人の口座が凍結された場合、家賃の振込はどうするのか。アパートの修繕依頼への対処など、経営者が亡くなったとしても賃借人は今もなおアパートに住んでいるわけなので、その対応が必要となります。ここを放置するわけにはいかないので、その対応を早急に行います。管理会社がある場合はそこに連絡しましょう。

また、相続人が複数おり誰が相続するか決まっていない場合は、代表者を決め、その代表者が対応することになります。

②金融機関への連絡

アパートのローンが残っている場合は、その手続きが必要となります。

金融機関に連絡して返済について相談しましょう。また被相続人が団体信用生命保険に加入していた場合はその手続きが必要です。

③準確定申告

準確定申告とは、被相続人の確定申告のことです。

準確定申告は給与所得の他に20万円以上の収入がある場合や事業所得、不動産所得がある場合など、確定申告が必要な場合に準確定申告が必要となります。被相続人が亡くなってしまっているので、生前の収入や経費などを計算して相続人が確定申告することになります。準確定申告は被相続人が亡くなってから4ヶ月以内に行わなければなりません。

④遺産分割協議

続いて遺言書がなく相続人が複数人いる場合は、相続人同士で遺産分割協議を行います。

誰が何をどのくらい相続するかを話し合いで決めます。アパートについてもこの時に誰が相続するのかを話し合いで決定させます。話し合いが決定したら、その内容を遺産分割協議書として書面にし、相続人全員の署名と実印での捺印をします。

⑤名義変更手続き(出来るだけ早く)

遺言書がある場合はその指定に従い、ない場合は遺産分割協議で決定した相続人がアパートを相続することになります。

誰がアパートを相続するかが決まったら、名義変更手続きをします。

法務局に行き、戸籍謄本や住民票、評価証明書などを添付して申請書を提出します。登録免許税として固定資産税評価額の0.4%が法務局への手数料としてかかります。

⑥相続税の申告

アパート以外にも相続した財産があれば、それらも含めて相続税を算出し、税務署に相続税の申告を行います。

これは10ヶ月以内にしなければなりません。

遺産分割協議前のアパート賃料は誰のものになるのか?

被相続人が亡くなって、遺産分割協議が終わるまでの間もアパートの賃料は発生しています。遺産分割協議が終わり、相続人が決定すれば、その後の賃料はアパートを相続した者が受け取ることになります。

では、その間に発生した賃料による収入は誰がもらうのでしょうか。

この場合、法定相続分に従って分けることになります。

相続人が配偶者と子どもの場合、配偶者が1/2、子どもが1/2(子どもが複数の場合は1/2を人数分で分ける)となります。相続人が配偶者と直系尊属の場合、配偶者が2/3、直系尊属が1/3(直系尊属が2人の場合1/3を2人で分ける)となります。相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合、配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4(兄弟姉妹が複数いる場合はその人数で分ける)となります。

アパートの相続は共有にしない方が良い

相続人が複数いる場合、遺産分割協議でアパートの相続を相続人全員の共有とすることもできます。

しかしアパートに限らず、不動産の相続において共有は避けた方が良いとされています。共有にすると様々な制約が発生し、その処分についても面倒になるからです。

例えば、相続人がABCの3人いたとして、アパートを全員の共有にしたとします。この場合、アパートを処分したいとなった際は、ABC3人全員の同意が必要となります。ABC3人の仲が悪くなってしまうと話し合いも困難になります。また、3人のうちAが亡くなってしまった場合、その権利をAの相続人が相続することになり、さらに複雑になっていきます。

このように共有にすることはデメリットが多いと言われているのです。

アパートを相続せず放棄する方法もある

実は相続は必ずしもしなければならないものではありません。

相続をしない、つまり相続を放棄することもできます。

例えば、アパートのローンが多額に残っており、また賃借人も少なく経営が難しい場合もあります。アパートを売却して、その売却金が出れば良いですが、価格が下落し、売却しても赤字になるなどの場合、プラスの財産とは言えず、マイナスの財産と言えるでしょう。

そこで、相続を放棄するという方法もあります。方法としては必要な書類を集め、相続放棄申述書に記入し、家庭裁判所に提出します。

ただし、一部だけの放棄は認められていないので、相続を放棄する場合、一切の財産を相続することができなくなりますので総合的に判断しなければなりません。また相続の放棄は相続が発生したことを知ってから3ヶ月以内にしなければなりませんので注意してください。

アパート経営を事業承継せず売却する

アパートを相続したとしても、その事業を継承するかはまた別の話になります。

ご自身の仕事が忙しく、とてもアパート経営はできないという人もいるでしょう。その場合、事業継承はせず、売却したり、経営を他に任せるという方法もあります。

アパート相続が手に負えない場合は専門家に相談してみる

大抵の方はアパートの相続手続きを自分でやろうとしてみるものです。

しかし、アパート相続は様々な手続きが必要となり、時間と労力が伴います。その結果、自分でやろうとした結果、仕事や家庭に影響が出たり、手続きが複雑になってしまったりして、結局、専門家に依頼するというケースも多いです。

初めから依頼していれば無駄な時間と労力をかける必要はなく、苦労することもないので、自分で手続きをしようと考えている方は、専門家に依頼することも検討してみましょう。

では誰に何を依頼すればよいのかというと、基本的に登記関係(名義変更)は司法書士、税金関係(相続税など)は税理士に依頼することになります。しかし司法書士や税理士の知り合いがいないという人もいるかと思います。士業の方はネットワークがあるので、まずは相談してみて、相続手続きに強い専門家を紹介してもらうという方法もあります。

まとめ

さて、いかがでしたか?

今回はアパートを相続した場合の手続きについて解説させていただきました。

アパートの相続は名義変更手続きや相続税の申告など、複雑で面倒な手続きがあります。そのため、ご自身で手に負えないような状況でしたら、早めに専門家に相談することをおすすめします。

以上、「アパートを相続した場合の手続きや注意点」でした。

最後まで、お読みいただきありがとうございます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました