兄弟に遺留分がないって本当?

相続について

自分の相続分が極端に少ない。
そんな時は遺留分を侵害されているかもしれません。しかし、兄弟姉妹には遺留分がありません。
今回は相続で度々、問題になる兄弟の遺留分について解説します。

そもそも遺留分の問題はどうして起こるか

そもそも遺留分の問題は何故、起こるのでしょうか。
遺留分は被相続人が遺言書を残していた場合や死因贈与契約、生前贈与などがあった場合に、起こりうる問題です。

事例で見てみましょう。
例えば、法定相続人が配偶者A、子供B、子供Cの3人とします。被相続人は配偶者Aに全ての財産を相続させる内容で遺言書を残しており、Aが全ての財産を相続しました。この場合、子供BとCの遺留分が侵害されていますので、BとCはAに対して遺留分減殺請求をすることで、自分の遺留分を取り戻すことができます。

通常の相続では、遺産分割協議を行い、相続人全員の実印と印鑑証明書が必要です。
つまり、相続人全員が内容に同意しないと遺産分割協議書が作成できないため、通常の手続きでは遺留分が問題になることはありません。

関連記事

相続で問題となる遺留分の計算方法と割合とは
相続で度々耳にする遺留分。自分の相続分に納得いかない場合、遺留分は請求できるのか?今回はその割合と計算方法について解説していきます。

兄弟には遺留分がないの?

上記のように遺留分を侵害をされた場合は、侵害した相手に遺留分減殺請求することができますが、遺留分は第2順位の相続人までしかありません。配偶者は常に相続人となり、第1順位の相続人は被相続人の子供などの直系卑属、第2順位は被相続人の親などの直系尊属となります。兄弟姉妹は第3順位となるため、遺留分はありません。これは血縁的に遠いためと言われています。

第1028条
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
一 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の3分の1
二 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の2分の1

兄弟姉妹には代襲相続があるため、相続人である兄弟姉妹が亡くなった場合、その子供が相続人となります。仮に兄弟姉妹に遺留分があるとすると、兄弟姉妹の代襲相続人である子供にも遺留分が発生することになります。

例えば相続人が配偶者と遺言者の兄の場合で、遺言書で配偶者に全ての財産を相続させるとしていたとします。その後、遺言者が亡くなりましたが、相続人である兄も間もなく亡くなってしまいました。遺言書では配偶者に全てを相続させるとしていましたが、相続人の兄の代襲相続人である子供が遺留分減殺請求をしました。このように兄弟姉妹に遺留分を認めるとその代襲相続人である子供も遺留分が発生することになり、関係性の薄い者が相続することは遺言者にとって酷ではないかといえます。

また、代襲相続人は兄弟姉妹の場合、一代限りになります。つまり被相続人からすると甥や姪にあたる者だけということです。以前は限定されていなかったのですが、制限がないと被相続人と関係の薄い者が相続することもあり、配偶者や子供などが生活に困窮するといった問題があったため、兄弟姉妹の代襲相続は一代限定となりました。
ちなみに直系の代襲相続人には制限はありません。

兄弟姉妹に相続させたくない時は遺言書を書く

このように兄弟姉妹には遺留分が存在しません。
よって、遺言書によって兄弟姉妹の相続分がなかったとしても遺留分減殺請求をすることはできません。
従って兄弟姉妹に相続させたくないという時は、遺言書を書いておく必要があります。

例えば、子供がいない夫婦。
配偶者が亡くなった場合、片方の配偶者が全て相続できると思っていませんか?
配偶者は常に相続人となるため、配偶者には法定相続の順位がありません。
つまり、「配偶者+法定相続順位の高い者」となるため、第1順位の子どもがいない場合、第2順位の直系尊属(親や祖父母など)が相続人となり、第2順位が死亡している場合、第3順位の兄弟姉妹が相続人となります。第3順位の兄弟姉妹もいない場合に、相続人がいないということで配偶者が全て相続することができるわけです。なお、兄弟姉妹が亡くなって、いない場合には甥や姪がいれば代襲相続されるので、この場合も配偶者が全て相続することはできません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました